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Supabase vs Firebase 徹底比較

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Supabase vs Firebase 徹底比較

概要と歴史

BaaS(Backend as a Service)とは

BaaS(Backend as a Service)は、バックエンドの機能(データベース、認証、ストレージ、リアルタイム通信など)をクラウドサービスとして提供するプラットフォームである。開発者はバックエンドのインフラ構築を省略し、フロントエンド開発に集中できる。

Firebaseとは

Firebaseは、2011年にAndrew LeeとJames Tamplinによって設立されたリアルタイムデータベースサービスで、2014年にGoogleに買収された。以降、Googleの支援を受けて、認証、ホスティング、Cloud Functions、Analytics、Cloud Messaging(FCM)など、モバイル・Web開発に必要な機能を包括的に提供するプラットフォームに成長した。

Supabaseとは

Supabaseは、2020年にPaul CopplestoneとAnt Wilsonによって設立された「オープンソースのFirebase代替」を標榜するBaaSプラットフォームである。PostgreSQLをベースとし、Firebaseに相当する機能(データベース、認証、ストレージ、リアルタイム、Edge Functions)をオープンソースの技術スタックで提供する。

主要なマイルストーン

FirebaseSupabase
2011年Firebase設立-
2012年Realtime Database公開-
2014年Google買収-
2017年Cloud Firestore発表-
2020年Firebase v9(モジュラーSDK)Supabase設立、Y Combinatorに参加
2021年-パブリックベータ、$30Mの資金調達
2022年-Edge Functions、$80Mの資金調達
2023年Vertex AI統合AI/Vector統合、$116Mの資金調達
2024年GenkitSupabase GA(正式版)、Branching

強みと弱み

Firebaseの強みと弱み

観点強み弱み
GoogleエコシステムGCP、Google Analyticsとの深い統合Googleへのベンダーロックイン
モバイル対応iOS/Android SDKが充実Web開発では必要以上に複雑
リアルタイムRealtime Database/Firestoreのリアルタイム同期コストが予測しにくい
認証Firebase Auth(ソーシャルログイン対応)カスタマイズの限界
Cloud Functionsサーバーレス関数(Node.js/Python)コールドスタートの遅延
AnalyticsFirebase Analytics(無料)データの所有権がGoogle
FCMプッシュ通知(無料)競合サービスとの統合が限定的
ドキュメント充実した公式ドキュメント機能が多く全容把握が困難
料金無料枠が充実スケール時のコスト急増(Firestore読み取り課金)

Supabaseの強みと弱み

観点強み弱み
オープンソース全コンポーネントがOSS自己ホスティングの運用負荷
PostgreSQL業界標準のRDBMS、SQL対応NoSQLの柔軟性が必要な場合は不向き
データの所有権データは自分のPostgreSQLにセルフホスト時の管理責任
移行容易性標準SQL、ベンダーロックインが少ない一部Supabase固有の機能あり
Row Level SecurityPostgreSQLのRLSによるきめ細かいアクセス制御RLSポリシーの設計が複雑
Edge FunctionsDeno DeployベースFirebase Functionsより機能が限定的
リアルタイムRealtime機能(PostgreSQLのCDC)Firestoreのリアルタイムほどの成熟度はない
型安全性supabase gen typesでTypeScript型自動生成型生成のタイミング管理
ベクトル検索pgvectorによるAI/ML対応設定と最適化が必要
成熟度急速に成長中Firebaseと比較すると歴史が浅い

技術スタック比較

データベース

項目FirebaseSupabase
DB種類Firestore(NoSQL)PostgreSQL(RDBMS)
データモデルドキュメント/コレクションテーブル/行/列
クエリ言語Firestore SDK(メソッドチェーン)SQL + PostgREST API
スキーマスキーマレススキーマあり(マイグレーション管理)
リレーション非正規化が基本正規化、外部キー、JOIN
トランザクション対応(バッチ書き込み)完全なACIDトランザクション
インデックス自動 + 複合インデックス手動手動(柔軟性が高い)
全文検索非対応(Algolia連携が必要)対応(tsvector/tsquery)
ベクトル検索Vertex AI連携pgvector拡張

認証

項目Firebase AuthSupabase Auth(GoTrue)
メール/パスワード対応対応
ソーシャルログインGoogle, Facebook, Twitter, Apple等Google, GitHub, GitLab, Apple等
電話番号認証対応対応
マジックリンク非対応対応
SSO(SAML)Identity Platformで対応(有料)対応(Proプラン)
カスタムクレーム対応JWTカスタムクレーム
マルチファクター認証対応対応
Row Level SecurityFirestore RulesPostgreSQL RLS

ストレージ

項目Firebase StorageSupabase Storage
ベースGoogle Cloud StorageS3互換オブジェクトストレージ
セキュリティStorageルールPostgreSQL RLS
画像変換Firebase Extensions組み込みの画像変換
CDNGoogle CDNSupabase CDN
最大ファイルサイズ5TB5GB(デフォルト)

サーバーレス関数

項目Cloud Functions for FirebaseSupabase Edge Functions
ランタイムNode.js, PythonDeno(TypeScript/JavaScript)
トリガーHTTP、Firestore、Auth、Storage、スケジュールHTTP、Webhooks
コールドスタートあり(数秒)短い(Deno Deploy)
デプロイfirebase deploysupabase functions deploy
ローカル開発Firebase Emulatorsupabase functions serve

リアルタイム

項目Firebase Realtime/FirestoreSupabase Realtime
仕組みWebSocket(自動管理)WebSocket(PostgreSQL CDC)
リアルタイムリスナーonSnapshotsubscribe()
オフライン対応自動キャッシュ + 同期限定的
プレゼンスRealtime DBで対応Presence API
ブロードキャスト非対応Broadcast API
データベース変更検知自動Postgres Changes

適しているユースケース

Firebaseが適しているケース

  • モバイルアプリ: iOS/Android SDKの充実度
  • リアルタイムアプリ: チャット、コラボレーションツール
  • プッシュ通知: FCM(Firebase Cloud Messaging)
  • オフラインファースト: Firestoreの自動オフライン対応
  • Google連携: Analytics、AdMob、Crashlytics
  • プロトタイプ: 素早くバックエンドを構築
  • Googleエコシステム: GCPの他サービスとの連携

Supabaseが適しているケース

  • Webアプリケーション: PostgreSQL + TypeScript
  • SQLが必要: 複雑なクエリ、JOIN、集計
  • データの所有権が重要: オープンソース、セルフホスト可能
  • 既存のPostgreSQLスキル: SQLの知識を活かしたい
  • マイグレーション考慮: ベンダーロックインを避けたい
  • AI/ベクトル検索: pgvectorの活用
  • Row Level Security: きめ細かいアクセス制御
  • TypeScript開発: 型自動生成との親和性

適していないケース

状況FirebaseSupabase
複雑なSQL JOINFirestoreは不向き得意
完全オフライン対応得意限定的
ベンダーロックイン回避困難セルフホスト可能
Google Analytics連携得意別途設定が必要
超大規模(ペタバイト級)Firestoreの制約PostgreSQLの制約
プッシュ通知FCMが強力外部サービスが必要

料金比較

無料枠

項目FirebaseSupabase
データベースFirestore: 1GBストレージ、50K読取/日PostgreSQL: 500MB
認証月間ユーザー数無制限月間50,000MAU
ストレージ5GB1GB
関数月200万回呼出、40万時間GB500K呼出、100万時間
リアルタイム同時接続100200同時接続
帯域10GB/月2GB/月

有料プラン(概算、最小構成)

プランFirebase(Blaze)Supabase(Pro)
月額基本料従量課金のみ$25/月
DB読み取り$0.06/10万ドキュメント8GBまで含む
DB書き込み$0.18/10万ドキュメント8GBまで含む
ストレージ$0.026/GB/月100GBまで含む
関数$0.40/100万回$2/100万回(超過分)

コスト予測の注意点

Firebaseは読み取り/書き込み回数ベースの課金であるため、アプリケーションの使い方によってはコストが急増する可能性がある。特にリアルタイムリスナーを多用する場合、予想以上の読み取り回数が発生することがある。

Supabaseは固定月額+従量課金のハイブリッドモデルで、コスト予測がしやすい。


採用企業の実例

Firebase

企業/サービス用途
Duolingoプッシュ通知、Analytics
Alibabaモバイルアプリバックエンド
The New York Timesニュースアプリ
LyftAnalytics、Crashlytics
Shazamリアルタイムデータ
TrivagoA/Bテスト

Supabase

企業/サービス用途
Peerlistプロフェッショナルネットワーク
Mobbinデザインリファレンス
ChatbaseAIチャットボット
QuivrAIセカンドブレイン
HappyKitフィーチャーフラグ
ReplicateAI推論プラットフォーム

移行

FirebaseからSupabaseへの移行

Supabaseは公式の移行ガイドとツールを提供している。

移行対象方法難易度
Firestore → PostgreSQLデータエクスポート + インポートスクリプト高(データモデル変更が必要)
Firebase Auth → Supabase Authユーザーデータのマイグレーション
Firebase Storage → Supabase Storageファイルの移行
Cloud Functions → Edge Functions書き換え(Node.js → Deno)中〜高
Firestore Rules → RLSセキュリティルールの再設計

主な注意点:

  • FirestoreのドキュメントモデルをRDBMSのテーブルに変換する必要がある
  • ネストされたドキュメントを正規化するか、JSONBカラムで対応するかの判断
  • クライアントSDKの書き換え

開発体験の比較

項目FirebaseSupabase
ダッシュボードFirebase Console(多機能)Supabase Dashboard(モダン)
CLIfirebase-toolssupabase CLI
ローカル開発Firebase Emulator Suitesupabase start(Docker)
TypeScript型手動定義supabase gen types(自動生成)
テストEmulatorでテストローカルPostgreSQLでテスト
SDKfirebase, firebase-admin@supabase/supabase-js
エミュレータFirestore, Auth, Functions等PostgreSQL, Auth, Storage等

選択の判断基準

判断基準FirebaseSupabase
モバイルアプリ中心推奨-
Webアプリ中心-推奨
SQLが必要-推奨
オフライン対応推奨-
オープンソース重視-推奨
Google連携推奨-
コスト予測性-推奨
プッシュ通知推奨(FCM)-
AI/ベクトル検索-推奨(pgvector)
RDBMSの経験-推奨

まとめ

FirebaseとSupabaseは、BaaS市場における二大選択肢であり、それぞれ異なる強みを持つ。

Firebaseを選ぶべき場合:

  • モバイルアプリ(iOS/Android)が主体
  • Googleエコシステム(Analytics、AdMob、FCM)を活用したい
  • オフラインファーストが必要
  • プッシュ通知が重要
  • NoSQL(ドキュメントDB)が適したデータモデル

Supabaseを選ぶべき場合:

  • Webアプリケーションが主体
  • SQLとリレーショナルデータモデルが必要
  • オープンソースとデータの所有権を重視
  • TypeScript開発との親和性を求める
  • ベンダーロックインを避けたい
  • AI/ベクトル検索を活用したい

2026年現在のトレンドとしては、Webアプリケーション開発ではSupabaseの採用が急増している。PostgreSQLベースであることの安心感、型自動生成によるTypeScriptとの親和性、pgvectorによるAI対応が大きな要因である。一方、モバイルアプリ開発ではFirebaseの優位性は依然として高い。


参考リンク